『キャスター』は社会派の骨太ドラマ!日曜劇場×阿部寛の黄金コンビも脚本が期待外れでガッカリ…

2024年4月期にTBS系日曜劇場枠で放送された阿部寛さん主演のドラマ『キャスター』。”日曜劇場×阿部寛”というハズレなしの黄金コンビで期待も高まっていましたが、正直期待外れでした。途中離脱こそしなかったものの、回を追うごとに視聴するモチベーションは下がる一方。期待が大きかっただけに消化不良でモヤモヤした気持ちが残りました。今回はそんな『キャスター』を徹底解剖して評価していきたいと思います。

目次

『キャスター』を徹底解剖!注目ポイント!

”日曜劇場×阿部寛”は間違いない組み合わせ

骨太ドラマを放送する枠として人気の高いTBS日曜劇場枠。その中でも相性抜群なのが日曜劇場×阿部寛さんの組み合わせ。過去には『ドラゴン桜』『新参者』『下町ロケット』『DCU』などで主演をつとめており、堺雅人さん主演の『VIVANT』にも主要キャストとして出演していました。個人的には『結婚できない男』みたいなラブコメも大好きですが、年齢を重ねて渋さが増した阿部寛さんに骨太な日曜劇場枠はピッタリです。

芸達者揃いのキャストは安定の演技力

フレッシュな若手俳優から圧倒的存在感の大御所俳優さんまで幅広く出演していた『キャスター』。主演の阿部寛さんは言わずもがな、北大路欣也さん、高橋英樹さん、石橋蓮司さん辺りの演技力と存在感はさすがとしか言いようがありませんでした。渋くてかっこいい。フレッシュなAD役の道枝駿佑くんも以前と比べるとだいぶ上達したなあと感心しました。恋愛ドラマよりこういう系の方が向いてる気がする。ヒロイン役の永野芽郁ちゃん、編集長役の宮澤エマさん、サブキャスター役の月城かなとさんなど女性陣も安定の演技力でした。

脚本6人体制の弊害?

最初のころは二転三転するスピード感のある展開が面白かったのですが、回を追うごとにごちゃごちゃしてしまったというか、なんだかまとまりのない感じになってしまったのがすごく残念でした。『キャスター』は6人の脚本家さんが分担して執筆する形を採用したようですが、それが仇になってしまったのかなあ。私はやっぱり脚本家さんの特徴というかクセというか、そういうのを楽しみたいタイプなので共同脚本はしっくりきませんでした。

『キャスター』のキャスト紹介!主演は阿部寛さん!

・進藤壮一(しんどうそういち)/阿部寛
 視聴率低迷にあえぐ報道番組「ニュースゲート」のメインキャスターに就任した型破りな報道キャスター。

・崎久保華(さきくぼはな)/永野芽郁
 報道番組「ニュースゲート」総合演出。進藤とは過去に因縁がある。

・本橋悠介(もとはしゆうすけ)/道枝駿佑
 報道番組「ニュースゲート」AD。ジャーナリストを目指している。

・市之瀬咲子(いちのせさきこ)/宮澤エマ
 報道番組「ニュースゲート」編集長。

・山井和之(やまいかずゆき)/音尾琢真
 報道番組「ニュースゲート」プロデューサー

・国定義雄(くにさだよしお)/高橋英樹
 民放テレビ局JBNの会長。

・羽生剛(はにゅうつよし)/北大路欣也 ※特別出演
 次期総理大臣候補の内閣官房長官。

『キャスター』の視聴率・主題歌・脚本(原作)

視聴率

平均視聴率:11.0%
・最高視聴率:14.2%(初回)
※関東地区・ビデオリサーチ社調べ

主題歌

・tuki. 『騙シ愛』

脚本(原作)

・原作:なし
・脚本:槌谷健/及川真実/李正美/谷碧仁/守口悠介/北浦勝大

原作なしのオリジナル。脚本家は6人体制。

『キャスター』各話のあらすじをざっくりと

私が実際にドラマを視聴しながらざっくりとまとめたものなので多少の解釈の違いは大目に見てくださいね!

第1話 毒を毒で制す男

視聴率が低迷しているニュース番組「ニュースゲート」のメインキャスターに抜擢された新藤壮一(阿部寛)は型破りな取材スタイルで初日から現場を混乱させます。そんな「ニュースゲート」の初回生放送の目玉は内閣官房長官・羽生剛(北大路欣也)の生出演でしたが、土壇場でキャンセルに。そこで新藤は羽生本人に出演キャンセルの理由と贈収賄疑惑を追及しに行きますが、突然羽生が倒れてしまい、そのまま病院で緊急手術を受けることに。しかし羽生の血液型はAB型RH(-)。そしてたまたま同じ日に心臓の手術を受ける予定だった少年の血液型もAB型RH(-)。結果的に羽生は助かり少年は亡くなりました。大物政治家と少年の命の価値に違いはあるのか?新藤が真実を追い求めます。

第2話 オンライン賭博とスポーツの闇

「ニュースゲート」のアナウンサー・小池(月城かなと)がオンライン賭博容疑で任意同行され番組は大混乱。さらに日本バレーボール界のエース・名和選手も同席していたことで国際バレーボールを主催するテレビ局はスポンサー撤退の危機に。名和選手は小池を守るために真実を話しませんが、小池は新藤に追及され、生放送中に名和選手からプロポーズされていたことを明かして身の潔白を証明しました。しかし、今度は名和選手に八百長疑惑が持ち上がり、出場停止処分に加えて海外への移籍も白紙に。新藤は名和選手の無実を証明するためにスポーツ界の闇を暴いていきます。

第3話 美しき科学者の罠〜新細胞は存在します!

帝都大学の女性研究員・篠宮(のん)が発表した新たな万能細胞”iL細胞”が再生医療に革命を起こすと世界の注目を集めますが、SNSでは不正疑惑が囁かれ始めます。研究をサポートしている教授がAD本橋(道枝駿佑)の大学時代の先輩だったことから「ニュースゲート」が独占取材を行いますが、世界的科学雑誌はiL細胞の研究論文を取り下げ、データの改ざんを指摘しました。不正を行ったのは誰なのか、指示をしたのは誰なのか、不正を告発したのは誰なのか。新藤と本橋が真実を追求するために奔走します。

第4話 盗撮&闇サイト殺人

JBN報道局長・海馬(岡部たかし)の娘が通う中学校で起きた盗撮騒動の真相を探るため新藤たちは部活動の取材と偽り中学校へ潜入。盗撮事件の背後には別の事件との繋がりがあることを掴みます。調査を進める過程で盗撮の実行犯が海馬の娘だったことが判明。テストで不正したことをネタに脅されて盗撮の手伝いをさせられていたのでした。海馬の娘を脅した黒幕を暴くため崎久保(永野芽郁)が海馬の娘のふりをして犯人をおびき寄せ、事件を解決に導きます。

第5話 テレビ局の内通者は誰?

警察官による暴行事件のもみ消し情報を入手した「ニュースゲート」チーフディレクター・梶原(玉置玲央)が、情報提供者の内部告発をしたいと申し出ました。新藤たちはすぐに取材へ向かいますが、約束の時間になっても相手は現れません。それどころか情報提供者は暴行事件を否定する記者会見に出席していたのでした。JBN内部に内通者がいると推測した新藤は罠を仕掛け、どこから情報が漏れたのかを探り、暴行事件もみ消しの真実を暴いていきます。

第6話 娘を助けたい!スクープと死〜進藤の過去

病気で自分の臓器が提供できないため脳死した夫の肺を娘に移植したいと訴える藤井(中村アン)を取材した崎久保。移植を阻んでいる現行の臓器移植制度の問題点を追及しますが、週刊誌の記事で藤井が本当はドナーになれる健康体であることが明らかになり、藤井親子への同情は一気に非難へと変わってしまいます。しかも脳死した夫は心肺停止になり移植自体が不可能に。娘と血縁関係がないことを隠すため持病があると嘘をついていた藤井はなんとか娘を助けたいと海外での臓器移植をサポートするNPO団体「ひまわりネット」を頼りますが、そこはかつて崎久保の姉が違法な移植手術を受けるために利用した団体でした。そして新藤が過去に違法移殖の実態を暴いたことで崎久保の姉が手術を受けられないまま亡くなったことも明らかになりました。

第7話 命か?違法手術か?

NPO団体「ひまわりネット」が海外で臓器移植すると見せかけて本当はドナーを輸入して国内で移植手術を行っていることをつかんだ新藤は移植手術が行われる病院の前で藤井親子の到着を待ち構えていましたが、「ひまわりネット」代表・深沢(新納慎也)から娘に危害を加えると脅されて深沢と移植担当の医師を逃します。一方、独自に調査を進める崎久保は移植を担当する医師が実の父親であることに辿り着き、父親が逮捕されるのを覚悟で藤井の娘を助けてほしいと懇願。手術当日、警察が踏み込み手術は中止かと思われましたが、新藤が実の母親をアメリカから探し出しており、娘は合法な移植手術を受けられることになりました。

第8話 山火事に隠された秘密

原子力関連施設が密集する村で大規模な山火事が発生し、「ニュースゲート」プロデューサー・山井(音尾琢真)の父親が行方不明に。雨のおかげで火事は鎮火して山井の父親も無事に発見されますが、発見時の状況に違和感を覚えた新藤は山井の父親のことを探り始めます。そして山井の父親のことを探る過程で43年前に起きた自衛隊輸送機墜落事故と長年追い続けている父親の死の真相に近付くことに。しかし山井の父親は崖から転落し、新藤もスキャンダルが週刊誌に報じられるなど追い詰められていきます。

第9話 キャスター降板なんてクソくらえ!

山井の父親が転落したのは事故ではなく誰かに突き落とされたと考える新藤はキャスターを降板されられそうになりながらも山井とともに真相を追い続け、山井の実家から新藤の父親とのつながりを示す手帳を見つけます。手帳の記述によると新藤の父親、山井の父親の他にもう一人、三人で約束を交わした人物がいたことが判明。その謎の人物の手がかりを得るために新藤は原子力燃料再処理センター所長・江上(井上肇)の娘が働く食堂へと向かいます。しかし新藤が食堂に入る前に爆発が起こり、新藤より先に到着していた山井が巻き込まれて亡くなってしまいました。その後、謎の三人目の人物はJBN会長・国定(高橋英樹)だったことが判明し、新藤は国定を追い詰めていきます。

第10話 国民に知られてはいけない秘密

43年前に自衛隊輸送機墜落事故の取材をしていた父はなぜ亡くなったのか、真相を追い求める新藤は再び謎の洞窟を訪れますが、何者かに閉じ込められてしまいます。そんな新藤を救ったのは反社会的勢力の娘であることが週刊誌に報じられて休職中だった「ニュースゲート」編集長・市之瀬(宮澤エマ)でした。新藤は生放送で市之瀬の身内の問題に触れ「重要なポストにいるのは彼女が優秀だから」と周囲を黙らせます。また番組中に国定会長の記者会見を開き、疑惑を追及していきます。しかし、すべての黒幕は国定会長ではなく景山重工会長の景山(石橋蓮司)だったことが判明。新藤の父親の死の真相も明らかになりました。景山会長の逮捕により実行部隊の闇組織も検挙され、新藤が追い続けていた違法賭博、盗撮事件、違法移殖などとの繋がりもすべて暴かれたのでした。

『キャスター』の満足度は何点?出演者・物語・感情・演出をチェック!

それでは最後に独断と偏見でドラマ『キャスター』の満足度を評価していきたいと思います。

採点項目は以下の通り。各項目25点満点。

・出演者(配役、役者さんの演技)
・物語(構成、展開、完成度、台詞、余韻)
・感情(泣ける、笑える、キュン、切ないなど)
・演出(テンポ、視覚的な演出、音楽)

採点基準は以下の通り。

・90点以上:最高傑作
・80点以上:素晴らしい名作
・70点以上:面白い良作
・60点以上:可もなく不可もない作品
・50点以上:人によって好みが分かれる作品
・50点以下:満足度の低い作品

『キャスター』の評価は70点!期待が大きすぎてガッカリも見応えはアリ!

出演者★★★★★25点
物語★★★☆☆15点
感情★★☆☆☆10点
演出★★★★☆20点

出演者

芸達者な俳優・女優さんが勢揃いでとても見応えはありましたが、ちょいちょい配役ミスなのでは?と疑いたくなるような人物が。まずヒロイン役の永野芽郁ちゃん。ニュース番組の総合演出にしては若すぎませんか?あと編成担当の加藤晴彦さん。編成担当にしてはちょっと軽くないですか?もっと貫禄とか渋みのある人の方がよかった気がします。演技どうこうではなく配役の問題!永野芽郁ちゃんも加藤晴彦さんも好きなんですが、なんかこの二人だけ自分の中では配役がしっくりきませんでした。話題性重視だったんですかね。でも☆を減らすほどの違和感ではなかったので出演者は満点。

物語

メッセージ性の強い骨太な社会派ドラマでしたが、全体的に詰め込みすぎという印象です。二転三転するスピード感のある展開は初めこそワクワクしましたが、途中から疲れてしまいました。登場人物の関係性も分かりづらいし、ご都合主義でどんどん展開が変わるので、なんだか置いてきぼり感がすごかったです。もっとシンプルでもよかったのに。

後半は最終回に向けていい感じに盛り上がっていきましたが、肝心の最終回がイマイチ。市之瀬の反社のエピソード丸々カットして、新藤と国定会長の話だけに絞った方がよかった気がします。なんで最終回にこんなに詰め込んでしまったのか謎。あと悪役顔の景山が黒幕なのはまあでしょうねって感じですが、悪いこと全部景山に押しつけて残り全員いい人設定にしたのはなんででしょう。国定会長も悪い奴でよかったのに。あとこれだけは絶対に言いたいのですが、匂わせやめてくださーい。最後の最後に初登場の人物出して続編匂わせるの本当に萎えるのでやめてほしかった。最終回はスッキリ終わらせてほしい派です。

感情

あまり感情の動かないドラマでしたね。淡々と展開を追ってるだけ。唯一、臓器移植の回だけは涙腺がウルっときましたが、それ以外は不思議となーんの感情も湧きませんでした。登場人物の誰にも共感出来ず。黒幕が判明しても「ふーん」みたいな。ドラマにがっつり感情移入して楽しむタイプの人間なので結構ガッカリでした。

演出

後半の演出は素晴らしかった。山火事とかガス爆発のシーンはさすが日曜劇場って感じの迫力。音楽はまあまあですかね。あまり効果的に使われていた印象はありません。主題歌もあまり印象に残らず。ドラマの雰囲気には合っていましたが、たぶん曲を聞いても「これ何のドラマの主題歌だっけ?」と言ってしまう気がします。

『キャスター』はこんな人におすすめ

  • リアルな社会問題を扱うドラマが好きな人
  • 報道やメディアの裏側に興味がある人
  • スピードの感のある展開が好きな人
  • 阿部寛さんが好きな人
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